「オススメです!」と地域づくり課の方に勧められた、隣町(伊豆の国市)の源氏あやめ祭り。観光気分で足を運んでみたら、そこには温かく迎えてくれる地元の人たちと、幻想的な夜の風景が待っていました。娘もしゃぎりに飛び入り参加して、少しずつ“この町の暮らしに少し触れた”感覚を覚えた一日でした。
源氏あやめ祭りってどんなお祭り?
源氏あやめ祭りは、静岡県伊豆の国市で毎年7月に開催される、同市で歴史のある夏の風物詩です。2025年で第90回を迎える由緒ある祭りで、源氏ゆかりの土地らしく、和装の行列や伝統芸能の披露もあり、あやめの花と共に日本の文化が楽しめるイベントです。
この祭りは、平安時代の女性「あやめ御前(菖蒲御前)」を偲んで行われています。あやめ御前は、平安時代末期に現在の伊豆の国市古奈に生まれた美しい女性で、後に都で源頼政の妻となった人物です。源頼政は、鵺(ぬえ)退治で知られる武将であり、優れた歌人でもありました。頼政が治承4年(1180年)の宇治での戦いで討ち死にした後、あやめ御前は古奈に戻り、尼となって静かに余生を過ごしたと伝えられています。
今回は中伊豆の地域づくり課の方が、「ぜひ行ってみて」と教えてくれたことで、家族で訪れることにしました。移住6日目ということもあり、まだ地域の情報に疎い私たちにとって、こうした“地元のおすすめ”はとても貴重なきっかけです。
観光というよりも、暮らしの延長線上で触れた祭り。訪れてみると、地元の人たちが多く、日常の中に根づいたお祭りであることが感じられました。

娘が「しゃぎり」に参加!地域の輪にふれた瞬間
お祭りの雰囲気を一通り楽しんだ後、会場内を歩いていると、太鼓を叩いている姿や、「カンカン!」と金属的な音を鳴らす楽器の音が響いていました。これは「しゃぎり」と呼ばれる郷土芸能の一つで、祭りのリズムに合わせて太鼓や打楽器を演奏するものだそうです。
地域づくり課の方が「やってみる?」と娘に声をかけてくださいました。まさかの飛び入り参加OK!お借りしたバチを持って見よう見まねで叩く娘に、地域の人が優しく教えてくれている様子が印象的でした。そのゆるやかさと、あたたかな歓迎の空気に、「ここで暮らすってこういうことなのかも」と感じました。

ライトアップされた夜の幻想的な風景
実は、幻想的なライトアップを見ることはできませんでした。場所が分からず会場内を歩いていると、警備員の方に「あそこは階段を上るから、子ども連れだと大変だよ」と教えていただきました。
確かに、子ども2人を連れて暑い中で階段を登るのはなかなかハードルが高く……。警備員の方の気遣いに甘えて、今回は見送ることにしました。
でも、こうした小さなやり取りの中にも、「今は無理しなくていいよ」「また次の機会に」という地域のあたたかさを感じた出来事でした。

移住して初めて感じた「地域のおすすめ」に動く価値
移住してまだ間もない私たちにとって、イベント情報はほとんどが未知の世界。でも、こうして地域の人が「ここ、いいですよ」と教えてくれると、ただの情報が“体験”へと変わっていきます。
実際、源氏あやめ祭りのことも知りませんでしたし、しゃぎりに娘が参加するなんて想像もしていませんでした。それでも、誰かのひと声があるだけで、道が開けていく感じがあります。
“移住”はよそから来ること。でも、“暮らす”というのは、こうした一つひとつの経験を積み重ねていくことなのだと、少しずつ実感し始めています。
まとめ
「自分から動かなくても、地域の人がそっと背中を押してくれる」。そんな優しさに触れた6日目。帰るころには、子どもたちと一緒に歩いて汗びっしょり。でも、心にはほのかな充実感が残っていました。中伊豆に来てまだ1週間も経っていないのに、家族みんなが「この町の暮らしって、いいかも」と思えるきっかけになりました。
これからも、地域の人とのつながりを大切にしながら、少しずつ“暮らし”を重ねていけたらと思います。