泥だらけで育つ力―“もりのようちえん”で気づいた子どもの成長のかたち

仮移住体験

子どもが泥だらけになって遊ぶ姿を、最近見たことがありますか?

私がこの問いに「はい」と答えられるようになったのは、移住して16日目のことでした。中伊豆に移り住んでからの日々は、名古屋での子育てとはまったく違う、まるで時間の流れまでが違うような感覚を味わっています。

その日、私たち家族はmatane主催の「もりのようちえん」に参加しました。これは自然の中で子どもたちが自由に遊び、学ぶことを目的としたイベント。たんたん(主催者)に初めてお会いしたときに「ぜひ来てみて」と誘われたのがきっかけでした。

泥んこ遊び、ただそれだけ。でも、それがすごかった。

イベント当日、5組ほどの家族が「みんなのいえ」に集まり、まずは簡単なオリエンテーション。印象的だったのは、「遊び」と「娯楽」の違いについての話でした。スマホで見る動画は“娯楽”。でも、子どもたちが自分で考え、試し、笑い、失敗しながら夢中になること。それが“遊び”だというのです。

そして始まったのが、泥んこ遊び

大きなオケに水をはり、スコップやバケツがいくつも準備されていました。子どもたちはためらうことなく泥の中へ。気がつけば、頭からつま先まで泥まみれ。でもその表情は、普段家の中で見せるものとはまったく違いました。目がキラキラして、全身から「楽しい!」があふれている。

全身泥だらけw

私自身も泥団子を作ったりして遊んでみました。最初は恥ずかしさもありましたが、泥の冷たさや柔らかさに触れるうちに、気持ちは自然と小学生のころに戻っていました。

家の中の快適さ vs 外の発見

子育てしていると、どうしても家の中で過ごす時間が長くなりがちです。ついAmazonプライムやYoutubeを流してしまう。ラクだから、というのが正直なところ。でも、その“ラク”が、子どもたちにとって本当にいい時間なのか、心のどこかでひっかかっていました。

泥んこ遊びを通じて感じたのは、自然の中で過ごす時間が子どもにとってどれだけ貴重かということ。土の感触、水の冷たさ、風のにおい。どれもが五感を刺激し、「生きてる」感覚を育ててくれる。

私たち大人はつい“効率”や“安全”を求めすぎてしまう。でも、子どもたちにはちょっとくらい汚れて、ちょっとくらい転んで、それでも「楽しかったね」と笑える経験の方が、よっぽど価値があるのかもしれません。

「子育ては一人じゃない」と思える場所

こういう自然体験の場に参加して思ったのは、自分たちだけで子育てしなくてもいいんだ、という安心感。イベントには他の家族も参加していて、子どもたちはすぐに打ち解け、一緒に遊び始めていました。

移住してから、周囲に知り合いが少ないことに不安を感じることもありました。でも、こうして地域のイベントに参加することで、子どもにも大人にも新しいつながりが生まれる。中伊豆には、そんな出会いがあるんだと実感しています。

おわりに――「今日は泥まみれでいい日だった」

泥だらけの服、泥だらけの靴、泥だらけの笑顔。

イベントが終わる頃には、子どもも親もすっかり疲れていました。でも、その疲れは心地よくて、「ああ、今日もいい日だった」と素直に思えた。

これからも、もっと自然の中で過ごす時間を大切にしていきたい。動画やスマホに頼らず、自分の手で、足で、感じる遊びを。


あなたのお子さんは、最近、思いきり泥んこになって遊んだことがありますか?

次のお休みは、自然の中でちょっとした冒険をしてみませんか?

mata-ne
伊豆を拠点に夫婦で活動しています。夫はプロのネイチャーガイド、キャンプ・トレッキング等アウトドア体験の主催運営に狩猟。妻はレザークラフト作家、伊豆の鹿革を使って靴作りやアクセサリー作りを行いワークショップも承ります。
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